戸谷森「pass by」

GALLERY TAGA 22023224日〜320

現代作家画廊個展

鑑賞日:224日(金)

 

描くということは、それを目的としていないにも関わらず、何かを表象することになってしまう。ここに問いが3つ生まれる。表象されたものは何であるか。それはどのように表象されたか。そもそも表象とは何か。この3つの問いは、どのような画面にも含まれているのであるが、それぞれ優先順位が異なっている。このなかで、表象とは何かという問いは、画面の外の事項と結びついているために、必然と画面は物質となって絵画は三次元の物体へと化す。画面は仮想の窓であることを許されずに、その平面上に盛られた絵具自体が、出来事となる。そこでは何が起きているのか。描かれた何かが、その形象において現実の何かに似ているか、似ていなくとも結びついたものなのかは、大きな論点にはならない。それは窓の向こうに何が見えるかという話でしかないからだ。描かれた形象が、どのように空間のなかに存在しているかが、問われるべきだろう。事物の配置によって存在を認識する。これにより空間という茫漠とした事物と事物を取り囲む、隙間ともいえる何かが、物事の成立を可能にする場へと変貌する。