井上光太郎個展「すぐ隣に潜むものたち」

KOKI ARTS2021101日〜1030

現代作家画廊個展

鑑賞日:1014日(木)


かつて見た景色と、この先見るだろう景色との違いはどこにあるのだろうか。その人物は、木々は、家は、見たことがあったのかもしれないし、見てはいなかったのかもしれない。そこに違いはないのだろう。見たことや見ていないことが重要なのではなく、見たかもしれない、見ていないかもしれないの、「かもしれない」ついて考えるべきだ。描かれた景色は、架空の世界の産物として現実の世界と切り離してはいけない。描かれた景色は、かつてあったかもしれない、もしくはこれから起きるだろう光景の気配なのだから。気配は影ではない。気配は不在を意味しない。気配という形の存在として認識されるべきだ。実在とピッタリと寄り添い、しかし別物として。気配の存在を明確にするために、気配を枠のなかに閉じ込めようと思う。その枠もなにかの気配としての存在を固持している必要がある。それぞれ属している世界が異なる気配と気配が、互いの気配となるように、寄り添う。そして繰り返されていく。