上田亜矢子展「かたちの音階」

Gallery SU20201212日〜1227

現代作家画廊個展

鑑賞日:1220日(日)


発掘された古代の遺物は、白い石を削って加工されたものであり、その姿は人であり、かつ楽器とも目されるといわれている。確かに人は楽器となることもできよう。石も音楽を奏でることができよう。別の場所ーそこは最初の発掘地よりそれほどは離れていない。ただ時間の隔たりはずいぶんあると推測されているーでは、風によって石が音楽を奏でるという。しかし、その音楽を聴いたものは少ない。人であり楽器である発掘品は、実際のところなんであるのだろうか。人を表しているのか?音楽が現れるというのだろうか?その答えを見つけるためにも、今も人は音楽を形にしようとする。音階を、律動を、響きを、抑揚を。それぞれを単位として形に置き換え、並べてみたところで、それは音楽にはならない。音楽は総合的で根元的で、生そのものだから。古代の造型の細部を分析しつつ、石が発する響きのなかに身を浸す。