フランシス・ベーコン バリー・ジュール・コレクションによる

神奈川県立近代美術館 葉山、20219日〜2021411

海外物故現代作家個展

鑑賞日:111日(月)


紙の上に、もしくは布の上に、厚みのない色彩によって移し替えられた像に、もう一度肉体を、生命を与える。まずは、その人物が生きるための空間を規定し、与えなければならない。矩形の支持体という空間が既に規定され、そのなかで像は生を得ていると、多くの場合考えられているが、私はそうは思わない。その生は、私が与えたものではないから。元の絵を私が描いていたとしても、それは過去のものであり、現在には生は別の姿へと変容している。そしてこれからも変貌し続ける。私が目にすることのない時間も含めて、生が、変貌が持続する空間を手に入れる。そのために支持体に傷をつけ、絵具を塗布し像に空間と時間を重ねていく。像にかつて収められていた時間と、私の手によって創られた時間の間隙に空間が発生し、そのあわいで像は揺れ動き、生を獲得する。