100歳記念すごいぞ!野見山暁治のいま展


日本橋髙島屋S.C.本館8階ホール、20219日〜2021118

国内現代作家個展、主催:日本経済新聞社

鑑賞日:117日(日)


描くべきものは、常に目の前にある。色と形を伴って、手の触れられるものとして。見えないものは描くことができない。見えないように、描いたとしても。出来事は日々起こる。私が居ようと居まいと。なにかを目撃する。その出来事は私の手のなかにある。しかしどういうわけか、その出来事は、私の手のなかで変化していく。忘却を許さないかのように、溢れ出ようとする。画面の奥から手前へと。ものが溢れでてくる。私はそれを止める術を知らない。溢れたいように溢れさせるために、絵筆を走らせる。ゆっくりと。溢れを止めないように。目にした形と色は、はっきりと記憶している。溢れることによって姿を変えた理由もわかっている。それは一つのものであって、変化は仮の姿でしかなく、その実体は不変だ。溢れは私の手になかにある。何処へも行くことはない。

100歳記念 すごいぞ! 野見山暁治のいま

100歳記念 すごいぞ! 野見山暁治のいま