西岡良太展「一身上の都合により」

Fuma Contemporary Art Tokyo 2020728 日〜812

現代作家画廊個展

鑑賞日:81日(土)


見えないものを見えるように描く。見えるように。あたかも見たように。誰もが同じものを見るように。見えるものはない。見えないものがある。だから見えるものを描くことはせず、しかし、確かに目にしたものの、光の、きらめきの、影を、実体を取り巻く周囲の何かを丹念に描写する。物事には裏側があり、表側はそれに支えられている。表側を描けば描くほど、裏側の存在が増す。見えないものとして。そこで見えないものは、二重に絵筆から離れ、だからこそ描けば描くほど現れる。本当はそれを見たくはない。だから描かざるを得ない。描くことによって、見ないことが成立する。何のため画面に向かうのか。色彩を配置するのは、その姿を見ないためだ。まるで見たような見ていないものを完全な姿で作りあげないことには、見ることの意味は問えない。見えないものしか描くことはできないのだから。