戸張花「内在ーImmanence」

LOKO GALLERY20201113日〜12

現代作家画廊個展

鑑賞日:1120日(金)


熱が放射され、液体は固化する。本来の姿に戻ったにすぎないことではあるのだが、元の姿ではない。加えられた熱が失われていくとともに鉄自体が有していた時間が放射され、新たな時間が取り込まれる。繰り返し繰り返し。時間の粒は、安定さを欠きつつ自立し、支え合いながら歪みを発生する。粒子のなかで時間は孤立し、結び合うことはない。ただ個別に存在する。その時間の粒は、再び液化し融合することを夢見るのであろうか。もはや帰らぬ時間を内に秘め、それでもなお、時に流れに身を委ねようと、その表面から錆びていく。空気に触れ。仮初めの安定を得て、その後は、完全に分解する。その時間を解放したがために。その時間は解放せざるを得ないものだったために。それもまた熱の放射の一形態であるが、それ以上に固化した時間が流れゆく状態として現前している。