大槻素子 / Passing Scenery

Takashi Somemiya Gallery、2017年10月12日〜10月28日
現代作家画廊個展
鑑賞日:10月25日(水)

何気ない光景が私を捉える。光景が私を捉え、私が光景を捉える。そこに介在する私の感情は、光景のなかにある。私は私を探しており、私は私が何者であるかを知っている。光景は断片的であり、続いていく。すべてを捉えることはできないが、ある一瞬、そして次の一瞬というように、私のものにする。私の感情も少しずつ揺れ動きながら、光景とともに移動する。私はいない。光景のなかにいるから。私はいる。私は光だから。その光を切り取り、固定する。私は私を磔にするかのように画面へと定着させる。時間の経過を無視し、その一瞬の光としての私。それは実体のない、ある空間と距離として描かれる。実体はない。そこに私はいない。描かれたもののなかにのみ存在があるとしたら、その存在は、光のもう一つの姿でしかない。