岸本光大「Once Upon Times」

タカシソメミヤギャラリー、2015年4月4日〜5月9日
現代作家画廊個展
鑑賞日:4月16日(木)

目の前にあるあらゆるものの表面が処理されている。その実態ではなく、表面の処理がそのものとして流通する。価値は表面にしかないかのように。しかし、実態はどこに存在するのか。実態もその本質は表面でしかないのではないか。では、表面を実態として提示した時に、表面は何として振舞うのか。いくつもの表面を並べその差異を認識したところで、表面が表面として存在しているにすぎない。何の表面であろうと、何のかは常に問われず、それは表面であるからだ。そこでもう一度問わなければならない。表面は何のために存在し、それは何であるのかと。表面を撫でる視覚的快楽と、表面を通過しその奥を見定める知覚的快楽の違いは、実はどこにもないことを表面が表面でしかないことで、表明する。