熊澤未来子展「咆哮」

ミヅマアートギャラリー、2015年3月11日〜4月11日
現代作家画廊個展
鑑賞日:3月28日(土)

蠢く部分部分の集合体が全体を形成することを拒否しつつ結びつき、奥行きを作り出す。それぞれのパーツは、形としては親和性があるものの、意味としては分かたれたままで、そのために、意味を作り出すための装置として機能する。しかし、全体には意味が発生することはない。ある仮初めの物語が存在するかのように見えるが、それは部分の集合が導く幻影である。問題はその結びつきというよりも、どのように結びついているかのごとく表象されているかと、いうべきだろう。画面としてその接続部は破綻していない。実際には破綻した光景であるにもかかわらず。多焦点であり、多次元であるがための空間の破綻は、その破綻なしでは統一されえない全体を獲得している。だから描かれる物語は、ストーリーがあってなならなく、結論を予感させることをせず、不可能な結びつきを、一瞬という虚構のなかで、成立させる。