笠井麻衣子「おはなしのつづきのはなし」

YUKA TSURUNO GALLERY 、2015年5月16日〜6月13日
現代作家画廊個展
鑑賞日:5月29日(木)

この一瞬も物語が途切れることなく、時間は進んでゆく。物語る意志と力があれば、すべては物語として再構成され、新たな現実として再現される。私はこの一瞬の現実に生き、物語の世界に生きる。その現実と物語の間を行き来するためには、速度が必要となる。その速度をあげるために私はツールを手にしなければならない。そのツールは物語の世界を進むためのものであり、ツールを使って現実に戻ることはない。不可逆的な跳躍のために速さが必要であるならば、その行き来、向こう側から現実を把握するためには、遅さが必要とでもいうのだろうか。もしくは、進まないためにループをし続けるのか。ツールを手にする限り物語の進みを止めることはない。ツールをツールとして使用せず、物語の破綻のために機能させることで、私は現実を見ることができる。だからといって、現実へと戻ることを選択するには、また別のツールの誤用が必要となる。