Yuka Tsuruno Gallery、2022年3月5日〜4月2日
現代作家画廊個展
鑑賞日:3月24日(木)
影を見つける。私自身の。私は光に照らされていないから、影を持つことができない。自ら輝くこともしない。では暗闇のなかに一人で置き去りにされているのかというと、そういうことでもない。しかし決定的に影を持っていない。だから私は不安定で、存在も不確かなものとなっている。影があることで、私は私自身を確認することができるのだが、私にはその術がない。いつからか。以前は常に影とともにあったように思えるのだが。気付いたら、影は存在せず、私の視線は定まらない。見るべきものは世に溢れているのだが、私の目に入るもの全ても、影を失っている。そしてすべてが二重に存在している。並び立つように、重なり合うように。では、私にもその二重の私が存在するのだろうか。見ることはできない。触れることもできない。せめて影があれば、もう一人の自分として見做し、安心することもできるのだが。目の前の二重のものたちが、それぞれ一つに戻ったとき、私は存在できるのだろうか。