巷房、2020年6月8日〜6月27日
現代作家画廊個展
鑑賞日:6月24日(水)
ものは時間とともに変化する。その形が大きくは変わらないとしても、表面は外界と触れ続け、その痕跡を刻む。そして、どうしてその場所に存在するかはわからない。ただある。時間を含んで。その時間は特別なものではない。すべてのものと出来事に平等にあり、残酷なほどに作用する。求めるか求めないかに関わらず。そして、時間には光が伴う。光のないところでは、変化は起きない。だからといってそれを永遠と呼ぶことはもうできないのだが。その光のないところは、実は光が遮られた影でしかない。その光と影を逆転させた時に、ものは何を語りだすのか。ものは自分の影を知らない。自分を言葉を持たない。もの自身ではない影も、影そのものとしては存在できない。だから場を借りる。その場の、やはりその場が持った時間の結果としての表面を借りつつ、自己を表現することになる。その言葉は、誰のものか。
- 作者:中里和人
- 発売日: 2018/08/01
- メディア: 単行本