サイ トゥオンブリー:紙の作品、50年の軌跡

原美術館、2015年5月23日〜8月30日
海外物故現代作家国内初個展、国際巡回展再構成
鑑賞日:5月27日(水)

身体の、腕の、動きが画面に作用する。絵具が定着させるのは、身体の運動の跡であるが、それは意味の始まりでもある。運動が意味を発生させるのではなく、画面に付着した絵具が、その形が、その形が類推させるものが、意味を持つ。しかし、類推の行き着く先はない。語が、描かれた語が、指し示す意味を想起しても、その画面には、その描かれた語である以上の出来事は起こらない。出来事は描かれた時に起こり、出来事として静止する。そして、その場で震える。出来事が今起こりつつあることを示すために、小刻みに振動を続ける。振動は画面全体に及び、描いた時の鼓動を呼び覚ます。抑制された感覚として。そこで、身体の跡はより一層身体から離れていき、画面のうえの出来事として回帰、さらに循環する。発生した出来事は起きてしまうことなく、起き続け、成立しない。語は意味を発しつつ、指し示すものはなく、語を形作る線の震えへと還る。

Cy Twombly: 50 Years of Work on paper

Cy Twombly: 50 Years of Work on paper