今井俊介 | 額田宣彦 "line & color"

Hagiwara Projects、2015年10月3日〜11月14日
現代作家画廊二人展
鑑賞日:10月3日(土)

必要なものを現出させるために、まず不要なものを排除する。必要なものを現出させるためには、考えうるものを詰め込む。正反対にも見える二つの行為は、同じことである。なぜなら詰め込まれた考えうるものは、すでに選択を経ているからだ。それは描かれたものの量質と量塊の違いでしかない。しかし、その量質と量塊の要不要が問われるだろう。それもまた同じことである。描かれなかった、下地を塗っただけの面もまた量質と量塊を持ちうるからだ。
さて、その選択と排除の行為において、排除の幅を拡げ、選択の量を減らした時、残されるのは、選択という行為にそのものなのかという疑問が発生する。画面に現れているものは、選択という方法なのか、という疑問である。さらに問われるのは、その方法とは何かということだろう。方法のなかの揺らぎ、方法を支えるものの揺らぎ。目に見える、何を選択しなかったのか、という現れから排除の方法を読み取ることはできても、何を選択したかを正確に認知することは困難である。画面のなかで線と色彩は微かに震え続ける。その震えが方法から関係を作り出し、その関係が方法を覆すことで、排除されたように見えていたものが回復される。