若林勇人「重力と恩寵」

hpgrp GALLERY TOKYO、2015年3月27日〜4月25日
現代作家画廊個展
鑑賞日:4月1日(水)

遠心力によって粒子が整列し回転によって形が定められる。地球上のすべての事物は遠心力の作用を受け、エントロピーの法則によって拡散する。本来、バラバラであるはずの粒子が電気的な接続によって仮初めの結合を果たし、物体の姿をとる。その姿は、その一瞬の結合を捉えた影のようなものでしかない。その姿は、もはや、この世には存在しない。ただ影のみが影として定着する。どこに。それもまた、ある一瞬の物質の結合のなかでしかない。その遠心力に功するかのように存在する、重力は影である。しかし、その影が認識し易いためにこの影を実体としてみなしがちである。その影の姿は、移ろいと静止の淡いのうちにしか捉えることはできない。その淡いは一瞬であり、永遠である。