野村和弘 むしろ、幸せの音

gallery 21yo-j202339日〜42

現代作家画廊個展

鑑賞日:319日(日)、25日(土)

 

世界から私が受け取った感覚と情報。それは私の身体に入ってきた時に、世界とはいったん切り離される。私自身が世界の一部であることに異論はもちろんない。皮膚および感覚器官において、私は常時世界と接続している。しかし、私の内部は、私に属するものだろうか。それとも世界に属するものだろうか。両方と言ってしまうことは簡単だが、それでは世界は混沌のままとなってしまう。私の内部から世界に手を伸ばし、世界を捉え直すために、内部は世界と切り離されているとしよう。この世界認識は間違っているに違いないのだが、今は世界の側の理屈による正しさを必要としていない。私のなかに入ってきた、かつて世界だったものの断片は、私のなかにあったものによって再構成される。世界の断片と私の内部が交換されると言ってもいいのかもしれない。それをもう一度世界へと返さなければならない。そうしないと世界が少しずつ減っていってしまうから。ここで二度目の交換が起こる。そしてこの時、私の内部は、すでに世界に存在しているものと交換される。私から世界への贈与という形式を取りつつ、贈り与えられるのは、言葉でしかない。それも言葉という形式を採ることなく。