渡辺豪 個展 所在について

ANOMALY、2022年3月5日〜4月2日現代作家画廊個展鑑賞日:3月24日(木)すでに失われたものたちが、もう一度消える。場所を変えただけと考えることもできようが、そもそも場が消滅し、所だけが存在している。つまり位置を把握する術がないので、場所が変わる…

笠井麻衣子「Moonlight 」

Yuka Tsuruno Gallery、2022年3月5日〜4月2日現代作家画廊個展鑑賞日:3月24日(木)影を見つける。私自身の。私は光に照らされていないから、影を持つことができない。自ら輝くこともしない。では暗闇のなかに一人で置き去りにされているのかというと、そう…

生誕100年 松澤宥展

長野県立美術館、2022年2月2日〜3月21日戦後物故作家公立美術館回顧展、自主企画単独開催鑑賞日:3月20日(日)形態は機能を持つ。機能を充足させるための形態を創造する。機能は目に見えない。だから形態を消す必要がある。機能は私に作用する。あなたにも…

開館30周年記念 特別展 限らない世界 / 村上三郎

芦屋市立美術博物館、2021年12月4日〜2022年2月6日戦後物故作家公立美術館回顧展、自主企画単独開催鑑賞日:12月22日(水)行為には終わりがない。限りもない。すべてが行為でしかないことは誰しも理解しているはずだが、状況によって作法を要求してくる。作…

滝本優美個展

GALLERY33 SOUTH、2021年12月16日〜12月20日現代作家画廊個展鑑賞日:12月19日(日)風景は色彩としてある。その実体の質感は限りなく色彩の質感に置き換えられていく。距離と密度が均質になりつつあり、そのような色彩のなかを泳ぐように進む。風景は触覚的…

山口由葉個展「四角い宇宙」

TAKU SOMETANI GALLERY、2021年12月11日〜2022年1月16日現代作家画廊個展鑑賞日:12月19日(日)目の前を通り過ぎる風景と私は、どのような関係を結ぶことができるのだろうか。それらの事物と出来事は、本来はまったく関係がない。しかし、私はある一瞬、そ…

梅津庸一展 ポリネーター

ワタリウム美術館、2021年9月16日〜2022年1月16日現代作家美術館個展鑑賞日:12月19日(日)集めよう。とにかく。時間とともに消えていくものを。それ自体の価値は不明でも、きっとそれは何かを媒介する役割を持つはずだ。その相手が見つからないとしても、…

東影智裕 五島記念文化賞 美術新人賞 研修帰国記念「見えない時間」

旧平櫛田中邸アトリエ 、2021年9月23日〜10月10日現代作家個展鑑賞日:10月7日(木)生命の欠片を拾う。それはすでに動かず、生を終えたもの。欠片にもう一度生が宿ることはない。抜け殻ではなく、かつて生命を持っていたなにかの一部ではあるのだが。その欠…

小牟田悠介「新しい天体」

SCAI THE BATHHOUSE 、2021年9月7日〜10月9日現代作家画廊個展鑑賞日:10月7日(木)私とあなたの接点が複数ある。それを図に表した時、形体が生まれる。関係が単純な線となって現れ、私とあなた以外の人々ともその線は繋がれている。しかし、平面的に拡がり…

井上光太郎個展「すぐ隣に潜むものたち」

KOKI ARTS、2021年10月1日〜10月30日現代作家画廊個展鑑賞日:10月14日(木)かつて見た景色と、この先見るだろう景色との違いはどこにあるのだろうか。その人物は、木々は、家は、見たことがあったのかもしれないし、見てはいなかったのかもしれない。そこ…

チョン・ダウン|ヴィンセント ヴィンセント ヴィンセント!

GALLERY MoMo Ryogoku、2021年9月18日〜10月16日現代作家画廊個展展鑑賞日:9月30日(木)その奇妙な板を通り抜けると、世界はペラペラで破れやすいものへと変貌する。その変貌した世界では、人の姿もモノのかたちも、柔らかく、そして荒いものとなり、さら…

GENKYO 横尾忠則:原郷から幻境へ、そして現況は?

東京都現代美術館、2021年7月17日〜11月17日現代作家美術館回顧展、公立美術館三会場巡回鑑賞日:9月30日(木)今の私は過去と異なっている。元々、静止してはいない。常に揺らぎ変化をしている。変化を受け入れてきたはずだし、変化を求めたこともあった。…

ジャスパー・ジョーンズ:Eyes in the Persistence of Form

ファーガス・マカフリー東京、2021年9月11日〜10月16日現代海外作家画廊個展鑑賞日:9月21日(火)視ることと輪郭をトレースすることとの違いについて考える。輪郭は、その物体の外周を指すだけではなく、内部の凹凸やパーツを認識する際の、手掛かりでもあ…

牧野真耶展ー夜のとばりー

かわかみ画廊、2021年9月18日〜10月2日現代作家画廊個展展鑑賞日:9月19日(日)夜は光が溜まるのが遅い。それは時間を体験として把握すること。ゆっくりとゆっくりと、光を感じつつ、物の表面が変わっていくのを待つ。そして表面に光が染み込んでいく。物の…

秋山祐徳太子と東京都知事選挙

ギャラリー58、2021年9月13日〜10月9日戦後美術物故作家画廊テーマ展鑑賞日:9月17日(水)政治的自己中心主義のなかにあって、芸術が中立という幻想に安寧とできるわけがない。今まで歴史的に中立であったことはなく、今後もそうでしかない。しかし、政治的…

Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる

東京都美術館、2021年7月22日〜10月9日現代作家グループ展、自主企画単独開催鑑賞日:9月15日(水)世界は断片的なものだ。自分が関係している部分しか、理解しようがない。自分が属している階層のことはわかるが、それ以外のことは把握しているとは言い難い…

庄司朝美「2021年の9月」

gallery 21yo-j、2021年9月9日〜9月26日現代作家画廊個展鑑賞日:9月9日(木)奥行きを縮めなければならない。距離を消さなければならない。幻の原理を暴くために。現実の距離と像の関係を実証するために。奥行きは作られる側から消されていく。その消し跡に…

烏丸由美展 つむぐ ー東洋と西洋、絵画とデザインー

KATSUYA SUSUKI GALLERY、2021年9月4日〜10月3日現代作家画廊個展鑑賞日:9月9日(木)人は誤解をし合いながら生きていく。互いを理解できると信じているからこそ、誤解を重ねていく。誤解を幾重にもまとった主体は、存在しないのかもしれない。他者のいな…

中谷ミチコ:引き出しの中のドローイング

アートフロントギャラリー、2021年8月6日〜9月5日現代作家画廊個展鑑賞日:9月3日(金)人が集まるのは、ともに働くため。息と汗が入り混じり、我と彼の境はなくなっていく。湿気が互いを結びつけるように、私たちは一つのものとなる。個体としては分離…

隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則

東京国立近代美術館、2021年6月18日〜9月26日現代建築家国立美術館近作展鑑賞日:9月3日(金)都市が他者で溢れていることは自明だ。それぞれがそれぞれの行動をする。しかし、都市というものは、行動を規制するようにできている。建築物も小さな都市とし…

ボイス+パレルモ

埼玉県立近代美術館、2021年7月10日〜9月5日現代海外物故作家二人展、公立館2館巡回鑑賞日:8月17日(火)世界のどこかに一人取り残されたかのように、私の声がどこにも届かない。実際には目の前に相手がいて、返事もしてくれる。孤独だとも思ったこともあま…

宇佐美圭司 よみがえる画家

東京大学駒場博物館、2021年7月1日〜8月29日現代物故作家大学美術館特集展示鑑賞日:8月16日(月)遠い世界で起きた出来事と私は繋がっている。絵を描く行為という一点で、世界中の絵画作品と意図せず接続してしまうように。私の存在が他者の存在を導き、他…

没後30年 倉俣史朗展

Bunkamura ギャラリー、2021年8月12日〜8月22日物故デザイナー画廊展示鑑賞日:8月15日(日)記憶を辿っていくと、あの場所で誰となにをしたという出来事において、より現実感を持っているものは、すべて夢のなかの出来事。現実で一回起きたことより、夢のな…

野田哲也の版画-Ⅰ 日々の暮らしの中で

上野の森美術館、2021年8月12日〜8月23日現代作家美術館所蔵品特集展示鑑賞日:8月15日(日)日々消えていく私の影。家族の影。知人の影。夜が来たら影が消え、翌朝新たな影が作られる。昨日の影と今日の影は同じであり、別物でもある。それは影を作り出す人…

安田悠 たゆたうままに時間の中で

Yuka Tsuruno Gallery、2021年7月17日〜8月14日現代作家画廊個展鑑賞日:8月4日(水)自分がなにに囲まれているのかを確認する。そのために、しばらく動かずにいよう。なにが見えるか。なにに触れるか。なにを感じるか。周囲の動きを知ることになる。その変…

坂田彩香展 Survive 時代と闘う生命力

巷房・2+階段下、2021年8月2日〜8月7日現代作家画廊個展鑑賞日:8月4日(水)それは密度の問題と考えれば、早いだろう。密度が薄いと成長が早く見え、密度が濃いと変化は見えにくい。密度の違いだけで、内容物はほぼ同じに違いない。さらに観察を続けよう。…

衣真一郎展 山と道

藍画廊、2021年7月26日〜8月7日現代作家画廊個展鑑賞日:8月4日(水)自分の居場所を確認する必要がある。どこへ向かっているのか、わかってはいる、ただ地図を持っていない。だから測量する。一歩ごとに。目に見えるものと目に見えないものの位置を記録して…

小野ハナ展

コバヤシ画廊、2021年7月26日〜8月7日現代作家画廊個展鑑賞日:8月4日(水)定まらない。位置も視線も対象も。すべてが揺れ動き、その関係も変化する。関係の変化が、もっとも手に負えない。自分がなにを基準に立ち、見ているのかがわからなくなるからだ。基…

木下恵介「Places and Colors」

GALLERY TAGA 2、2021年7月15 日〜8月9 日現代作家画廊個展鑑賞日:7月24日(土)草を踏む。草も生命だということはわかっていて、傷つき、再起不能になる可能性もあるのだが、踏み続ける。踏まれて強くなるなんて言葉を発することはできない。草に対して私…

伊藤正展

Gallery SU、2021年7月3日〜7月18日現代作家画廊個展鑑賞日:7月10日(土)土を掴み、選ぶ。手の一部となり、手から自ずと離れる、そのような土を選ぶ。実際のところ土はかたちを欲してはいない。土は土でありさえすれば良い。そこに手を加えるのだから、土…