熊澤未来子展

第一生命南ギャラリー、2011年10月3日〜11月10日
VOCA賞関連、ギャラリー個展
鑑賞日:10月31日(月)

凝縮していく物質が、その運動の過程で螺旋を描き始める。平面上で一点に向かって集中していく力が、面に対して垂直方法に転換し奥行きを作る。それは画面上に描かれたものの奥行きではなく、純粋に発生した磁場ともいうべき、描くこと自体の力学においての奥行きとなっている。空間を歪め集中する。画面全体に緻密に描くことは拡散でも全体性でもなく、ある一点へと向う。浮き上がるように拡がり、人体を巻き込み、増大するかのような画面も、その収縮へと向かう力が満ちる。画面の構造を構造として作るのではなく、描いているなかでできてしまう構造にゆだねることで、絵が成立している。