生誕120周年記念 岸田劉生展

大阪市立美術館、2011年9月17日〜11月23日
共催:読売新聞社読売テレビ
物故作家個展、単独開催
鑑賞日:11月8日(火)

ものを観察しつくすことによって、ものの本質を理解できるか。ではものを見ているときになにを見ているのか。見ているものを画布に再現するときに、再現されているものの外観は、ものとどのような関係にあるか。描かれるモチーフが、描かれた画像と本質的に別物であるときに、美はどちら側に存在するのか。対象を観察する眼の緻密さ、それを再現する手の精密さを持ってしても、再現し得ないものの本質とはなにか。ものにも、画布の上にも本質がないとしたら、画家はなにを再現するのか。壺に本質的ななにかがないときに、林檎と組み合わせることで生まれるものがあるのか。人は野の花を手にして、なにを生みだしているのか。ものに背後は存在せず、その外観に見えるものは、ものが背負っている歴史=時間、固有性ではなく、描く人の歴史=時間、固有性でしかありえないという前提で絵が描かれたならば、その絵から読み取るものは、どこに属するのか。