若林奮 森のはずれ

武蔵野美術大学 美術館・図書館、202361日〜813

物故現代作家回顧展、自主企画単独開催

鑑賞日:61日(木)

 

私がいま立っているこの場。ここをなんと名付けたらいいのか。私と場の関係から、私の存在を問うことを求めてはいない。私は存在せず、他者のみが存在するのだから。私は他者にとって空間の一部でしかない。だからこそ私が立っている場を起点として、他者との距離を、空間を測らなければならない。この場はすでに名前も歴史もあるが、いま問うているのはそれではない。この場所を私自身で名付けるために、この場を一度解体し、再構成をする必要がある。空間を規定している要素を分解し、別の要素に置き換える作業だ。そのようにして置き換えられた場は、有限の空間として成立しつつ、その外部への通路を持つことになる。場はあらかじめ開かれていることはなく、一度閉じることで通路を獲得する。この通路は私と他者のためにあり、だからこそ距離が生まれ、その距離を表すための装置が必要となる。その装置は他者の側にある。私の尺度ではない。私は存在していないのだから。そのために、私と他者との空間に、時間を挿入しよう。例えば植物のような、時間が見えにくいものを。