金巻芳俊 空蝉センシビリティ

FUMA Contemporary Tokyo | 文京アート、2021220日〜36

現代作家画廊個展

鑑賞日:33日(水)


私の中には複数の私がいる。そうとしか思えないほど、状況によって私は私を使い分けており、それは違和感なくすべて私である。私は分裂をしていない。その時に必要な私として振舞っているだけだ。私の芯は揺るがない。不変といってもいいし、とはいえその芯も実は時間と経験とともに変化しするものだろう。それでも私は変わらない。変化もまた不変の一要素だから。私から常に新しい私が生まれる。古い私をまとったまま、次々と新しい私が出てくる。すべて私なのに。少しずつ変わりながら。私は分裂をしていく。同じ遺伝子を持ったまま、二つに、四つに。どのように統合し直すかは、プログラムされていない。しかし、元の個体に戻らなければならない時もくる。それは今か。まだ先か。戻るためには何をすべきか。もう一度戻りたいはずなのに、その前に分裂する私を覆うものが分裂し始めてしまった。