加納光於 | 色身ーー未だ視ぬ波頭よ2013

神奈川県立近代美術館 鎌倉館、2013年9月14日〜12月1日
現存作家個展、自主企画単独開催
鑑賞日:10月26日(土)

色彩の元となる様々な物質。それらは固体か液体か、あるいは気体か。その融合、化合、そして変異から色彩は誕生する。その繊細な手つきによって調合され、新たな、ではなく、新たに、でもなく、誕生そのものを纏った色彩は、与えられた平面の上で身震いする。より正確に言うならば、身震いさせられる。震えによってさらに発生する色彩、光の揺らぎを一瞬ーーその震え方に合わせて定められた、無限に分節化されることも許容するーーを、激しく躍動する身体が捕らえる。捕らえられた色彩は、捕らえた身体の影。捕らえられた色彩は、捕らえた身体そのもの。
色彩は物体。物体は言葉。平面は、立体の一つの面に過ぎない。その架空の立体に注意深く込められた言葉と物体の影が、平面に定着する。
色彩は言葉として、饒舌に色彩という物質ではなく、そこに秘された物体を語る。