丸山太郎個展『魔性のセーブポイント』

TAKU SOMETANI GALLERY2023518日〜67

現代作家画廊個展

鑑賞日:531日(水)

 

いま目の前にある物体にどのような名称を与えようか。その物体が元来保持している機能は、一部取り払われ、別の領域に属していたものが挿入されている。機能はかろうじて維持されているのかもしれないが、無効化されているようだ。さて、機能とはなにか。目的があり形状が決定されて、その用途に沿って使用された時に、機能が果たされる。目的を変えると、その後の操作は同一でも、まったく異なる様相を見せる。そうであっても機能は別の機能として果たされる。機能を無効化するためには、何を為すべきか。その一つの解として複雑化が考えられる。いくつもの目的を複合することで機能に至るまでの経路を煩雑化するというものだ。その結果、元来あった機能に不具合を生じるとしても、そこには新たな機能が追加される。創造されるといってもいいのかもしれない。作者の手によってではなく、使用者の手によって。ここから演繹されるのは、機能という概念は無効化されず、消滅もしないということだ。すべてのものが、機能を持つことができる。