家の外の都市の中の家

東京オペラシティアートギャラリー、2011年7月16日〜10月2日
国際展帰国展、単独開催
鑑賞日:10月1日(土)

プログラムされていない都市のなかの自由度とその変化を、家の外=他者、都市との隙間にみる。内側の区割り、内と外の境界をあいまいにすることで創出される、私性と公共のゆるやかな連続は、都市の不確定性が家のなかに浸透していることでもあるのか。しかし、個別の営為でしかなく、その延長線上に共同体への発展を孕んではいない。単位が個人住宅か共同住宅かの違いがあっても、プログラムされた建築内部の出来事となる。その先の共同体は、従来通りのプログラムしえない/しえなかった、ポイントごとのルールが複合した都市構造に委ねられている。
社会に対する建築の閾。中心の不在が周辺のあいまいさを際立たせる状況から、周辺のあいまいさを中心に据えることにしか、社会へのリアリティ=誠実さを担保し得ないことが、建築の閾を薄く延ばすのではなく、閾を定められないことを示す。設定の欲望も希薄で、設定そのものの可能性/必要性は言及されない。しかし、閾の放棄は、プログラムの放棄でもあり、それは建築が社会へ自ら意味を発生させる(誰かが見出すのではなく)ことの不可能性を現すことではないか。メッセージを持たずに、通路、交通、相互浸透を発生させる装置としてのみ存在することは可能か。