メタボリズムの未来都市展

森美術館、2011年9月17日〜2012年1月15日、共催:UIA2011東京大会日本組織委員会日本経済新聞社
研究会企画、単独開催
鑑賞日:9月20日(火)

メタボリズムをその思想的母体となる丹下健三、時代の同伴者である磯崎新、グループとしてよりも、その集合体のひとつの到達点である日本万国博覧会までを含めて、資料で回顧する展覧会。
新陳代謝というのは一つのスローガンとしてある。生成、増殖、分裂、死滅そして生成のサイクル。増殖、分裂まで形態として提示されるも、その死滅からの再生は不明確。増殖、分裂にともなうのか、生産=ライフスタイルの規格化であり、それは戦後の住宅改良の延長としてあるよう。都市の拡張が地形的に拡がりえなく、埋立地から海上へと手つかずの大地を創造するところから都市を設計するという設定は、1960年前後までの都市と農村の地勢的な完全なる分離の現れともなっている。近代化されたメタボリズム建築のなかで営まれる生活は、東京の歴史すら失った、別世界の生活様式となる。狭いコロニーのなかで職住が完結する、ユートピアのプロジェクトとして提案された。
コロニーの創世に、コロニーの住人の意思は反映されない。個々の生活様式の歴史を白紙還元する、新たな規格化への欲望を、新時代への希望として振り返ることと、今年の震災復興は結びつかない。
規格化のなかで規格のバリエーションを生み出すことも、設定上の規格化の破たんとなる。

メタボリズムの未来都市展──戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン

メタボリズムの未来都市展──戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン