画楽60年 渡辺豊重展

岩手県立美術館、2014年12月20日〜2015年2月15日
現代現存作家回顧展、公立館3館巡回、共催:読売新聞社、美術館連絡協議会
鑑賞日:2月13日(金)

常に動き続けるものを2次元の平面に定着させるときに、その動きを動きとして描くために、対象は捻じれる。その捻じれの力が、強ければ強いほど、元に戻ろうとする力はさらに強くなる。ものは静止せず、視線に正対することもなく、常に身をよじり、その場から逃れようとする。無理に止めるとその内部から捻じれが発生し、その力に外皮を保つことができず、亀裂が生じる。その亀裂は崩壊の兆しではなく、真の姿の誕生なのか。しかし、亀裂は全体に及ぶことはなく、小さな徴、今目の前にあるものが仮の姿でしかないという徴、としてある。その捻じれと亀裂という内部の運動の現れは、外部からの大きな力に直面すると、全体がその大きな力に対応するために、運動として飲み込まれ、消えてしまう。そのより大きな運動、外部の運動と拮抗するための運動は、外部の運動を基点として起きることから、自身の運動は見ることのできない闇と一体化する。