ガブリエル・オロスコ展ー内なる複数のサイクル

東京都現代美術館、2015年1月24日−2015年5月10日
現代海外現存作家個展、共催:読売新聞社、美術館連絡協議会、単館開催
鑑賞日:2月10日(火)

世界の真実がどこかにあるはずで、そういえば見たことがあるような気もするのだが、はっきりとは覚えていない。探そうと思っても、どこをどのように探せば良いのかわからない。その世界の真実の入り口は、ふとした瞬間に現れるが、見過ごしてしまうことのほうが、ずっと多い。というよりも、気づくことはほとんどない。それどころか、それが世界の真実への入り口だという証拠もどこにもない。しかし、その一瞬に普段とは違う何かがあって、欠けている何かに気づくのではなく、常にある何かに気づく。日常との差異を探すのではなく、日常なかにあるものになった目を向け、そして少しだけ手を差し伸べることで、その扉が開き、真実が現れる。その真実は時には奇妙な姿をしているし、それほど特別な姿をとるわけではない。誰かの落し物のように忘れられているわけでもない。誰かが忘れてしまっても、真実はそこでかたち作られていて、誰かの気づきを待っている。

ガブリエル・オロスコ 内なる複数のサイクル

ガブリエル・オロスコ 内なる複数のサイクル