新政府展 坂口恭平

ワタリウム美術館、2012年11月17日〜2月3日
国内現存作家展、単独開催
鑑賞日:1月19日(土)

都市は余剰から形成されている。余剰を産みだすシステムを逆手にとり、余剰から都市を生産する。マスタープランは機能せず、それぞれの思惑が意図せずに放棄した事物。放棄した者の欲望よりはるかに強い欲望を持って、その細部を拾い上げる。共生せず、転倒させる。社会に対する批判的な視線も、その余剰に対する愛情もまた転倒し還ってくる。その欲望の余剰は、地上のレイヤー構造に収まらないので、宙に積み上げられてゆく。地上と結びつけられる重力をなきものとして。重力はあるシステムと自分の肉体を結びつける構造の仮象か。構造なき集積によって都市を、社会を構築することは可能か。裏返しの構造によって、価値とともに逆転する都市の姿。その時にもう一方のレイヤーを支えるものはなにか。宙をさまよう人の営みの余剰から、あらたなレイヤーは産まれるだろうか。

思考都市 坂口恭平 Drawings 1999-2012

思考都市 坂口恭平 Drawings 1999-2012