岩崎由実「空の影」

岩崎由実「空の影」

RED AND BLUE GALLERY、2024年12月21日~2025年1月25日

現代作家画廊個展、企画:infas.

鑑賞日:1月7日(火)

 

絵を描く行為が、太古より続けられているならば、私が今絵筆を持っていることも、その歴史に連なっているはずだ。その歴史の一部として私と私の絵がある。絵筆を持つたびにそのことが脳裏によぎる。そして私はどのように太古と結びついているのかを、確認しなければならないと感じる。そのために岩肌にさまざまな色の土の粉をこすりつけたように、水で溶いた土を丁寧に塗り固めたように、編んだ植物に土を塗っていくように、筆先から物質が擦れる際の抵抗を受け取り、描き進める。その描くものは、自ずと祈りと結びつく。なにか超越者を設定しているのではない。自然に対する畏怖といっても、もう私は野生には還れない。しかし、見ている先に、見ることのできない次元が隠れていることはわかり、その隙間のような空間の揺らぎが、瞬間的に現れる。その空間の揺らぎに手を伸ばそう。絵筆の先に絵具を付けて。画布に絵具が付き、遠くの揺らぎに呼応する。もうひと筆をおき、さらに揺らぎは明確なものとなり、いつしか見えない世界は閉じ、画面が誕生する。