前田哲明<Recent Work 2021>

gallery 21yo-j 2021311日〜328

現代作家画廊個展

鑑賞日:327日(土)


空を象るために、何ができるか。人の身体も心も空としか言いようのない、物理的な空洞と観念的な空洞とを有している。その空について、古くより様々な言葉を費やすことで、象り、満たそうとしてきたことはわかってはいる。しかしそれらは、空とは何かについて語るのみで、空そのものについて直接的に表すことはなかったのではないか。なぜならその空はすべての人が実感しているから、今更説明の必要がないからだ。誰もが抱えている空に、形を与えようという無謀な行いは、なぜ始まったのか。人それぞれ空の形は違う。私の空を見せたところで、共感は得られない。そのために、いくつもの空によって、新たな空を創り出す。その揺れ動きつつ互いを支える柱たちも空を孕み、その隙間を形づくる。鋳型となるには隙間が大きく、空は空として象られることはない。形が与えられたら、それは空ではなく、空の仮の、しかも偽の形でしかないからだ。